設立趣意書

日本健康運動看護学会設立趣意書

設立発起人一同

 わが国では、人口の高齢化や生活様式の変化、食の欧米化に伴って疾病構造が変化し、糖尿病、高血圧症、脂質異常症の発症あるいは重症化や合併症への進行の予防が、保健医療施策の中でも喫緊の課題となっています。 生活習慣病は、機械化、省力化がもたらした運動不足が主たる原因のひとつとして挙げられ、子どもから高齢者に至るまで、「運動・スポーツ」は重要なテーマです。 スポーツという言葉が普及するにつれ、競技スポーツだけでなく、健康スポーツ、生涯スポーツ、障害者スポーツ、レクリエーショナルスポーツなど、さまざまな言葉が用いられるようになりました。そして、運動は生活習慣病予防だけでなく、女性の更年期障害を軽減し、高齢者の老化を抑制するなど、その効果について数多くの知見が得られるようになりました。 一方、介護が必要となった主な原因をみると、要支援者では「関節疾患」が20.2%、「骨折・転倒」が12.5%、すなわち運動器の障害によるものが多くなっています。これらは日頃の適切な運動により予防可能なものですが、介護保険認定者の数は介護保険法施行以降、増加の一途を辿っています。また、転倒リスクの高い人は400万人以上いると推定されており、転倒の危険性がある入院患者や虚弱高齢者の転倒・転落予防対策は、医療機関とりわけ看護部門にとっては重要課題となっています。  このような状況の中、私達は、健康を育む専門職として、子どもから高齢者に至るまで全ての人々が、日常生活においてQOLを高めるための「健康志向運動」を実践できるように支援していく必要があると考えます。さらに、「競技志向運動」においても、健康に考慮し、傷害を予防するとともに、安全かつ安心して運動できるシステムを構築していく必要があります。 本学会では、私達がその有する資格を活かし、健康運動・スポーツの実践、スポーツ傷害等に関する知識を強化するための教育及び教育プログラム開発、さらに将来に向けては資格の認定を行っていきたいと考えています。また、理論的研究や介入研究、調査研究をはじめとして、運動に関与する多職種との情報交換、共同研究の場としてネットワークを広げ、研究と実践の両面で専門性の探求および地域医療、地域保健の向上に寄与することを目指します。

平成21年11月吉日

発起人(五十音順)

赤星誠(宮崎県立看護大学)  池ノ上克(宮崎大学)  蒲原真澄(宮崎大学)  草場ヒフミ(宮崎大学)
串間秀子(宮崎県看護協会)  塩満智子(宮崎大学)  相馬宏敏(宮崎県福祉保健部健康増進課)
瀧口俊一(宮崎市保健所)  田島直也(宮崎県医師会)   帖佐悦男(宮崎大学)  鶴田来美(宮崎大学)
鳥取部光司(宮崎大学)  中村洋子(宮崎県福祉保健部健康増進課)  根本清次(宮崎大学)
野間口千香穂(宮崎大学)  長谷川珠代(宮崎大学)   林チヱ子(宮崎県看護協会)
日高真美子(宮崎大学医学部附属病院)   日吉眞理子(健康運動指導士会)
宮崎茂明(宮崎大学医学部附属病院)  向井フサ子(宮崎大学医学部付属病院)  湯川裕美(宮崎大学)