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11月 06

望月麻紀さんから活動報告が届きました!

2019年アジアボート選手権 メディカル報告

会場:韓国忠州 
派遣数:選手45名、スタッフ14名
現地気候:日中の気温は16度から21度。
夜は7度から9度。湿度滞在中の天気は晴れ。湿度は50%前後。
会場は、川の流れが静かで、500mはあるかと思われる幅の広いコース。
ゴール付近には艇庫、エルゴ会場、メディカルセンター、インフォメーションセンター、ストレッチ場所、カフェが入っている施設もあり、空き時間に体を休めるところが充実しています。 また、大会期間中は救急車が常時待機しており、救急時迅速な対応ができる体制でした。

~活動を終えて~
 今回、非公式の選手団ということで所属先の明治安田生命ボート部の協力により、選手団の健康管理を行った。約60名の選手団とパラローイングの選手を含めた活動となった。活動は疾患や障害の予防・早期発見・早期対応を念頭に従事した。予防として、気候の変化と疲労・環境の変化・ストレスによる免疫力の低下を念頭におき、食事前に手洗いを各チームの代表者に促した。また、部屋の加湿やマスクの使用など個別に指導を行った。事例として前述に報告しているため詳細は控えるが、虫刺されによる炎症や腰痛などは早期対応によりレースへの影響を最小限に抑えられたと思う。また、パラローイング選手の臀部の褥瘡に関しても、毎日練習後に患部を観察し、状況にあった処置とアドバイスを行った。同時に、日々のメディカルレポートで医科学委員長や日本人の大会ドクターに報告することによって、韓国の大会ドクターや看護師による適切な処置が迅速に受けることが出来た。
 選手にとってメディカルセンターや大会ドクターへの相談は棄権手続きのイメージからか、垣根が高い存在である。選手団の中に医療従事者が帯同することにより選手と大会ドクターとのパイプ役となり必要なケアを迅速に受けられるのではないか。

また、女性選手がいる中で女性のメディカルスタッフが帯同することで婦人科系疾患の相談はもとより、胸部や臀部周辺のケアやメンタルサポートの対応も可能になる。現に、今回の遠征で女性のメディカルスタッフを求める声が聞かれた。
パラローイング選手に対しては、今回見られた褥瘡の処置をはじめとし、脊髄損傷者に見られる尿路感染症や血圧の変動など看護師の資格が必要な処置も求められることが推測される。
 医師の医療上の介助は看護師の業務であり、医師が活動する組織下で看護師が所属することは必然であると思われる。医師が帯同していない遠征や合宿期間中に病気や怪我が発症した場合、医師の指示のもと幅広く活動できる看護師が医科学スタッフとして在籍することは必然であること感じた。
 一方で、遠征では複数の医療従事者が帯同することは困難である。看護師業務のみの遂行では選手が必要としているサポートを提供できない。看護師としてだけではなく、トレーナー業務を兼任し、リハビリテーション指導、トレーニング指導、マッサージ、テーピング処置などの知識と技術を看護師が習得しスポーツナースとして活動することが理想的であり現実的であると感じた遠征であった。